index

about

text

memo

link

info

TOP










 あとしまつ。
    ※原作捏造ネタ。後始末が嫌いな人は避けてください…※










    見下ろしたその人は、ぼんやりと空を見上げていた。



    「なぁ、隊長カカシ先生は?」
    ナルトがいのに手を取られながら、体をそらす様にして聞いてくる。
    「・・・そろそろだと思ってたけど。なかなか戻ってこないね。どれ、見てくるよ」
    「後始末ってなんだよ?」
    「ここが人様の土地なんだって自覚ある?里の人のものとはいえ、いろんなところに
     ハゲが出来てるし、罠も結界もずれちゃってるでしょ。戻しておかないと面倒なこと
     になるからね」
    「先生掃除してんのかよ?居残りみてえ」

    大技を連発して疲れが隠せないとはいえ、ナルトは元気だ。
    ヤマトの言い回しが気に入ったのか、にししと体を揺らしながら治療を受けている。
    「ちょっとー、ナルトったら笑いすぎ!腕、動かさないでよねー、こっちは治療してる
     んだから」
    「・・・あ、ごめんってばよ」
    女の子はどこも気が強いなと思いながら、先の言葉通りカカシを呼びにいこうと振り
    向くと、控えていたチョウジが近づいてくる。
    「ヤマト隊長、ボクが手伝えることはありますか?」
    「いいよ。君はナルトを支えてあげてくれるかな」
    いのが集中すればするほど、うへえ、とナルトの体が後退るのがわかる。あれは
    誰か押さえないといけないだろう。
    「はい!」



    ナルトの技の衝撃で出来てしまったクレーターの底には、暁の男の死体とカカシが
    いるはずだった。
    ヤマトはゆっくりと歩み寄り、のぞき込むようにして身を屈める。
    そこにはカカシだけが、だらしなく大の字で横たわっていた。

    「・・・先輩、昼寝みたいですよ」
    「・・・・・・いいねぇ、昼寝。天気もいいし寝ちゃいたい」
    「やめてくださいよ。今のその格好じゃはまり過ぎる」

    自分たちが駆けつけるまでの間に、随分乱暴な目にあったのか、カカシのベストは
    無くなっていた。アンダーや鎖帷子ですら裂けた場所がある。反してカカシと共に
    いた10班のメンバーの姿は綺麗といっても差し支えのない状態だった。たしかに
    幾ら将来有望とはいえ、カカシの傍に控えていた子らは中忍で経験も浅い。
    そういった仲間を連れて敵と対峙するとき、カカシは、必要以上に率先して前に出る
    癖があった。
    この人の悪い癖だとヤマトの唇がゆるく笑みを象る。

    「上まで運んで。歩くの疲れた」
    「えらそうなお願いですねぇ」
    「先輩だからね」
    笑みを含んだ声がいう。
    目を瞑ってうっとりとした声でねだられるとまず抵抗はできない。
    「持ち上げますよ」
    「上までねー」
    わかってます、という掛け声と共にカカシの体を担ぎ上げた。

    「っと、テンゾウ!」
    「ヤマトです」
    「・・・っ、ヤマト!持ち方違うでショ!米俵みたいに運ばないでよ」
    「どうして?一番安全な運び方ですよ。有事の際も片手で対処が可能ですし、バラ
     ンスも取りやすい」
    「なんか・・・愛がない・・・」
    「いま後輩の義務感で運んでますから」
    カカシがいかにもがっかりした調子でこぼすのを冷静に受け流す。

    「ひどい」
    左肩に担ぎ上げた体が小さく揺れたかと思うと、妙なところに軽い衝撃がある。
    連打されてるのだ。
    「ちょっと!人のケツ叩かないでくださいよ!」
    「クナイで刺さないだけありがたいと思いなさいよ」
    「先輩こそ運んでもらって感謝の気持ちくらい持ってくださいよ!」
    「ほら、落ちるでしょ!落ちる!!」
    担ぎ上げたカカシの顔をみようと後ろをうっかりむいてしまったせいで、バランスが
    崩れた。カカシが動く分、それを支えるのにヤマトの足も揺らぐ。
    共倒れの可能性に気付いたカカシがいち早く(というより保身の為に)大人しくなる。
    その背中というか腰を、添えた右手でぽんぽんと撫でるように叩いた。

    「おつかれさまでした」
    背後の気配を感じ取りながら、改めて伝えると、自分の肩甲骨のあたりに声が響く。
    その振動が、ちょっとだけ面白い。

    「・・・ね。いいタイミングだったよホント」
    「気弱ですね」
    「ナルト」
    「はい?」
    「あいつ、腕痛めてるでしょ」
    「・・・・・・ええ」
    「サクラ戻ってきたら、サクラも治癒に充てたほうがいいね」
    「そんなに痛みますか」
    「痛むねえ。通常の螺旋丸だけでもキツイからね。反動は大きいはずだよ。あいつの
     治癒力でも楽観しちゃいけない」
    「先輩は?」
    「軽く痛むねぇ」
    「素直だなあ」
    「ま、たまには」
    ゆっくりと盛り上がっていく斜面を進む。登りきると、約束どおりカカシを下ろし、ずり上
    がった自分の装備を整える。あとは、再度点呼を取り、全員の怪我の症状を確認しつ
    つ撤収する。
    そして。

    「手配が早いですね」
    「まあね。処理班もあれは喜ぶだろうね」
    「人の技を超えてましたね・・・大蛇丸のような禁術とも少し違うようでしたが」
    「誰かのツギハギで生きながらえてるんだから似た様なもんだよ。暗部からの返事の
     鳥ももう来てる。案外近くにいたみたいだね。結界も張ったし処理班が着いたら全員
     引き上げよう」
    「・・・悪用されませんかね?」

    暁の男の、躊躇のない手術跡。
    それを解剖し、また解析することで知識を深め、擬似的に永遠の命があるならばと同じ
    ように考える者が出てくる可能性がないとはいえない。
    命を永らえようとする者は古今東西多すぎる。

    あの男も。そもそも、大蛇丸もそうだったではないか。

    ヤマトが漏らした一言を、やさしくたしなめるようにカカシが目線だけで笑ってみせた。
    「五代目が医療忍術の最高峰にいることが幸いだ。あの人の古風な倫理観で締めて
     もらうしかないよ。どっちにしろ暁って組織の入り口であんなのに会っちゃったんだ、
     今後も似た様な人外がいないとも限らない。最低限の研究は必要だってことさ」
    一言でいうとさ。
    てこずった分、里の役に立ってもらうってことだよ。

    結局は弱肉強食の世界だ。
    搾取されたものは、いずれ搾取した側の栄養素になる。ただ、それだけのことだ。

    やさしい声で言われた言葉に失笑しつつも納得する。
    そうだ。それが自分のいる世界だ。

    「里に帰ったら、後始末、今度はヨロシク」
    「・・・書類の嫌いな人だ」
    「オレ、字汚いんだよ。知ってるでしょ?」

    軽く仕事を押し付けておいて、ヤマトの返事も待たずにカカシが歩き出す。
    その足取りは思ったよりも力強くて、これなら里まで充分持つか、とヤマトは判断した。

    「ナルトに」
    返事はないだろうと思うのに、口が勝手に動く。
    「後始末、させてもよかったんですけどね」
    後を追って歩いていると、目の前の生地が黒いなりに所々焦げたアンダーウェアが、
    小さく揺れたのがわかる。
    「それもよかったかもね。どっちにしろ経験になるし。でもねえ」


    「最後の一口は食べたいタイプなのよ、オレ」
    ヤマトを振り向いて、カカシは陽だまりのようなやわらない笑みをみせる。

    オマエなら、どうしたんだろうね?

    投げ返された問いにヤマトこそ答えず、微笑みで沈黙を守る。
    当然、自分も最後の仕上げを請け負うだろうと思ったからだ。

    所詮はしがない暗部上がり。

    人より、掃除が得意なだけだ。










NETSUZOU
ネツゾウとテンゾウは似ています。
ていうかもしかしての初ヤマカカ…orz
後始末、後始末…ってぼーっと考えた末に消化不良な
まま吐き出すSSです。技では超えたのかもしれないけど
経験では多分超えてないとおもい た    い
ヨゴレ街道走りたいのなら、そんときはテンゾウも普通に
共犯なんだろうしと思っただけSSですが…×の自信がな
くなってきました。ん、このひとたち影でやりまくりです
(むりやりカップリングぽくしようとしてる)…!